ささやきの小径
「下の禰宜道(しものねぎみち)」、通称「ささやきの小径」。
春日大社の正面参道にある二の鳥居から少し南にそれ、
高畑の閑静な住宅に続く、500mほどの歩道を
「ささやきの小径」と呼んでいます。
高畑の社家町に住んでいた春日大社の神官たちが出勤するために通い、
多くの文化人が散歩を楽しんだとも言われています。
「下の禰宜道」の「禰宜」は、神官のことを意味しています。
ささやきの小径よりも東側には、「上の禰宜道」、「中の禰宜道」も通じており、
こちらも春日大社から高畑へと抜けることができます。
風に擦れる葉の音が心地よく、
脇には小川がせせらぎ、苔に覆われた土肌が美しく、
馬酔木(アセビ)が生い茂り、イチイガシなどの巨樹もみられます。
鬱蒼とした木立に包まれ、少しうす暗い中で、
ところどころに差し込む木漏れ日からは、神聖な雰囲気も感じます。
散歩の途中に鹿と出会うこともあり、奈良らしさを感じます。
馬酔木は毒があり鹿が食べないため、道を囲むように成長していきました。
冬から春にかけて馬酔木の花も見られ、目を楽しませてくれます。
ささやきの小径を抜け、高畑に入ると桜が花を咲かせています。
志賀直哉旧居の脇を抜け、新薬師寺から山の辺の道に向かうと
白毫寺があり、「五色椿」が見頃を迎えています。
「五色椿」は、東大寺開山堂に咲く「糊こぼし」、伝香寺に咲く「散り椿」と並ぶ、
奈良三大椿の一つです。
白毫寺には、五色椿だけでなく、何種類もの椿が咲き誇ります。
春、奈良をゆっくり散策してみてはいかがでしょうか。