春の京終
奈良町の南端に位置する京終(きょうばて)。
[鹿の舟]から南に抜けると広がる京終の町並みも、
春の装いに移り変わってきています。
[鹿の舟]から徒歩5分ほどに位置する「飛鳥神社」。
京終の氏神さまであるこの神社は「京終天神社」とも呼ばれています。
拝殿の手前に植えられた紅梅が見頃を迎え、訪れる人たちの目を楽しませてくれています。
飛鳥神社の歴史は古く、718年、現在の明日香村にあった飛鳥神社を、
平城京遷都のために、国家鎮護の神社として平城京四条に移転したのが
始まりとされています。
奈良町では明日香村の飛鳥寺を移築した元興寺が有名ですが、
飛鳥神社は元興寺の守護神として鎮座していました。
1369年に現在の場所に奉遷されてから、京終をずっと見守っておられます。
また、現在の社殿は、春日大社の末社である「水谷神社」の旧殿を
1826年に移築してきており、佇まいに存在感があります。
5つの主祭神お祀りしている本殿の前には、
色紙で作られた紅梅と白梅が飾られています。
主祭神には、梅を生涯愛でておられた菅原道真公も含まれており、
社殿のことを「紅梅殿」と呼んでいたこともあったそうです。
また、拝殿の脇には10円おみくじが備え付けてあり、
神社の斜め向かいの店舗ではご朱印を授与していただけるので、
京終散策にお勧めしたい場所の一つです。
飛鳥神社から南に5分ほど歩くと、JR京終駅が目に入ります。
レトロな佇まいが印象的なこちらの駅舎は、明治31年に初めて建てられ、
木材をあしらった壁面や瓦屋根が印象的です。
昨年までは、薄い桜色に塗られた壁面が可愛らしい印象の駅舎でしたが、
建物の譲渡を受けた奈良市が、昭和50年代当時の姿に復元したばかりで、
木目が印象的な、温かい空間に仕上がっています。
駅舎の南半分を占める待合室は、今はまだ入ることはできませんが、
明日9日(金)の正午から一般利用が開始されます。
また、10時50分からは地元の方が有志で集まり、
新しい京終駅のために作られた鉄道唱歌が駅前で披露され、
どなたでも参加できるそうです。
これからは、駅務室や駅前広場の整備工事なども進みます。
京終駅は、[鹿の舟]や奈良町の最寄り駅でもありますので、
散策も兼ねて立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
見所あふれる春の京終をお楽しみください。