鹿の舟のいま

秋の七草

朝晩の暑さが少しずつ和らいで、秋の訪れを感じる今日この頃、
[鹿の舟]の庭も、秋の彩に染まり始めています。

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ところで、秋の七草をご存じでしょうか。

萩(はぎ)、薄(すすき)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、
女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)

奈良時代の歌人、山上憶良が万葉集で詠んだのが、
秋の七草のはじまりだと言われています。

春の七草が、長い冬を耐えた後に
早春の新芽を食し、無病息災を祈願するのに対して、
秋の七草は、冬に向かう前に咲き誇る日本の秋草の美しさを愛でるものです。

秋の花が咲き乱れる「花野」(はなの)を散策し、
短歌の中にその美しさを留めようとする人間の営みが
古えより行われていたことが伺えます。


秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花

(山上憶良 万葉集 巻八 一五三七)


萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 *朝顔の花

(山上憶良 万葉集 巻八 一五三八)

*ここでの朝顔は桔梗のことと考えられています。


万葉集には約4500首の歌がおさめられていますが、
その中の1500首以上に植物が登場します。

多くは人々が日常生活で何気なく目にしている植物です。

万葉人も身近な草木に親しみを感じ、
日々の生活に寄り添うものとして接していたことが伺え、
日本人の自然に対する姿勢が
古来からずっと受け継がれていることも実感できます。


その中でも萩は一番多く詠まれた植物です。

今日でも私たちがよく見かける植物で、
日常に溶け込んだ控えめで可憐な花です。


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奈良町の周辺では白毫寺の参道が萩に彩られることで有名です。

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春の五色椿で有名な白毫寺ですが、
これからの季節は、しだれ咲く萩の花枝に囲まれます。

静かな参道や境内を散策されると、歴史が紡ぎだす趣と合わせて、
秋らしい景色を楽しんでいただけるのではないでしょうか。

また、[鹿の舟]の庭でも萩、すすき、撫子、桔梗をはじめ
草木や木の実が、秋の装いで皆さんをお出迎えいたします。

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目線をいつもより少し上げたり下げたり、と
[鹿の舟]にお越しの際は、庭の日々の移ろいもお楽しみ下さい。

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