茶の湯の学校「初夏の庭を訪ねて-青葉と水流-」 開催いたしました
みずみずしい青葉輝く依水園で、6月1日(土)
庭舎MAKIOKA代表の牧岡一生さんをお迎えし、
茶の湯の学校「庭」の講座の第2回目を開催いたしました。
(第1回目「庭 -早春、奈良の住まいを訪ねる-」はこちらからご覧ください。)
会の前半では、牧岡さんが長年、保全と管理に携わってこられた依水園を
散策しながら、佇むのに心地良い数か所で、季節の草木、水景、
園内に点在する茶室の造形、依水園の歴史などについてお話して下さいました。
会の後半は氷心亭のお座敷に会場を移し、お抹茶とお菓子で一息ついた後、
牧岡さんの依水園との関わりや、四季を通して行われる庭の手入れ
などについて伺いました。
江戸時代初期の「前園」と明治期の「後園」という2つの異なる時代の庭を
内包した依水園はもともと別荘として作られ、庭園に入ると滞在する人々を
もてなすかのようにゆったりした時間が流れています。
杉の木立が涼やかな風をつくり、
訪れる人は茶室や寄付の深い庇の下でしばし休息することができます。
依水園の特徴のひとつはその名前からも分かるように水流にあります。
豊富な吉城川の水を取り込み、その流れは清められてから園内をめぐり、
また吉城川に戻っていきます。
江戸時代に前園を作ったのが奈良晒(高品質な麻織物)を扱う商人であった
ことから、この水流は当初、麻織物を清めるために使われていたそうですが、
同時に豊かな水景をつくることにもなりました。
流れがつくる豊かな水音も、これからの季節に心地よい涼の演出となっています。
牧岡さんによると3つの水音があるそうで、
参加者は各地点で思い思いに耳を澄ませていました。
一方で、静かに水をたたえる水面とそこに映される木々の深い緑は
見る人の心を落ち着かせ、満たしてくれるようです。
後園には、南大門、若草山、春日奥山、三笠山を借景とする壮大な眺望に加え、
のびやかに広がる空の移ろいを満喫できるところがあり
贅沢なひと時を過ごすことができます。
牧岡さんによると、奈良の庭園はどこか、のどかなところがあるそうで、
その作り込みすぎていない様子が奈良らしいとおっしゃっていました。
深く、庭を見つめてこられた方から現場で伺うお話はどれも興味深く、
会の2時間はあっという間にすぎてしまいました。
個人で観覧する時とは違った依水園の新たな魅力を見せて頂き、
また、季節の美しさを表現する日本庭園の奥深さを感じた時間でもありました。
ご参加いただいた皆さま、ご協力いただいた依水園の皆さま、
本当にありがとうございました。
(*開催日の6月1日(土)は依水園の開園記念日に重なりました。)
なお、お庭の会の第3回目は季節を初夏から秋に移し、
11月16日(土)に開催予定です。
概要等は随時こちらのページに更新してまいります。