素材の学校「吉野本葛」 開催いたしました
素材の学校 第2回目は奈良の伝統食材「吉野本葛」を取り上げ、
2月1日(金)に開催いたしました。
奈良・宇陀市の老舗「黒川本家」さんをお招きして、その魅力や効用、
家庭での活用法などを講座や実演、試食を交えながら学んでいただきました。
前半の講座では、葛がどのような植物か、
古来より人の生活にどのように関わってきたかという話に始まり、
葛の根が白く輝く葛粉になるまでのお話、代表的な葛を使ったお料理なども
ご紹介いただきました。
地中に隠れている葛の根のでんぷんは、この時期の厳しい寒さの中で、
もっとも多く蓄えられるため、葛の根を掘る職人さんはこの時期に
山奥に分け入り、根を掘り出すそうです。
黒川本家さんがお持ち下さった葛の根(葛根(かっこん))も間近で
拝見することができました。
また、江戸時代から代々400年以上「吉野本葛」の高い品質を守ってこられた
黒川本家さんならではの文豪や皇室との関わりもご紹介頂きました。
江戸時代に発行された「製葛録」という当時の葛づくりを解説した書物や、
かつて葛を作るのに使っていた道具、谷崎潤一郎の「吉野葛」の原本を
拝見できたのも貴重な機会でした。
後半は伝統的な「葛水仙」と「葛豆腐」の作り方を実演して頂き、
すべて出来たてをご試食頂きました。
白濁していた葛水が湯煎することでみるみる透明になっていく様は
とても美しく、出来たばかりのつやつやした葛水仙、弾力のある葛豆腐は
見ても、触っても楽しいものでした。
また最後には、本葛の新しい楽しみ方とも言える葛ココアも
味わっていただきました。なめらかな優しい甘さに身も心も温まりそうです。
「吉野本葛」は水との分量によって食感が変わり、
とろり、つるり、さらり、からりと言った多彩な食感を演出できるのが魅力です。
本葛を纏うことで、食材はその香りや風味をよりじっくりと伝えてくれる気がします。
せわしなく感じる時ほど、「吉野本葛」を使って一手間を加え、
料理を味わうことが大切なのかもしれません。
厳しい寒さが続き、疲れも出てくる頃ですが、葛には血行を良くし、
気分を落ち着かせる効果もあるので、ぜひお試しください。
今回の講座をきっかけに、日々の食卓をより豊かに健やかに
楽しんでいただけたら幸いです。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。