鹿の舟のいま

山の辺の道 山町~虚空蔵町

三輪山の麓から、奈良盆地の東に連なる山々の裾を縫うように
奈良へと通じる幹線道路だった「山の辺の道」。

多くのいにしえの人も往来した日本最古の官道です。

今回は、久しぶりに山の辺の道をご紹介したいと思います。

昨秋、紅葉の季節に山の辺の道を含むルートを歩いてきました。

なお、鹿の舟からスタートできる山の辺の道のルートは
以前の「鹿の舟のいま」でご紹介しています。
こちらも合わせてご覧ください。

(前回のご案内記事はこちら、奈良市街~高円 編、

高円~鹿野園 編、 鹿野園~八島 編

まずは、鹿の舟から徒歩8分のところにある、
JRまほろば線 京終(きょうばて)駅に向かいます。

京終駅からは1駅先の帯解(おびとけ)駅で下車し、
山の辺の道に向かいます。

帯解駅は明治31年に設置され、その開業当時からの駅舎は
令和4年に
国の登録有形文化財に登録されたばかりです。

また、徒歩5分のところには、安産祈願のお寺として有名な帯解寺があります。

「腹帯地蔵」とも呼ばれるご本尊の地蔵菩薩は木造で、

そのお姿や大きさからは、安心感を与えて下さるたたずまいを感じられます。

DSC05767トリミング済み、下山町の石道標、ごかだに、山村ごてん.png

下山町にある道しるべ。

左 山村御殿とあるのは、地元の人には言わずと知れた呼び方で、

法華寺、中宮寺とともに大和三門跡寺院の一つ、圓照寺を指します。

右へ折れて、五ヶ谷方面へ行きます。

国道を渡り、道なりに進むと田んぼの中に道しるべがあります。

DSC05771天理市中之庄町、みちしるべ.jpg

サムライ街道となってる方面へ向かいます。

DSC05770サムライ街道.png

昔、お侍さん達が走り抜けていたのでしょうか。

車もない時代、この小道を人馬が行き来していた
かつての風景を想像すると
時空を超えるようです。

サムライ街道を経て、山の辺の道に入ります。

山の辺の道に入ると、車の通りも少なくのどかな景色が続き、静かな時間があります。

DSC05775奈良市虚空蔵町?弘仁寺の入口 (1).png

まずは弘仁寺に立ち寄ります。

DSC05781弘仁寺参道.png

角が擦り減り、丸みを帯びた石段は今までの長い歴史を感じさせてくれます。

DSC05784 (1).jpg

弘仁寺は弘法大師創建と伝わる寺で、虚空蔵菩薩を本尊とします。

13歳の子どもに知恵を授けていただく十三参りで有名です。

普段は参拝客が少なく、静かにお詣りできます。

本堂は堂々としていて、見飽きることがなく
ここでしばらく休息をとるのもおすすめです。

今回は紅葉の季節だったため、正暦寺へも足を伸ばします。

正暦寺は古来から「錦の里」と呼ばれ、
山深い場所に3000本を超える楓が色づく
紅葉の名所です。

菩提仙川の渓流に沿う山道には往時をしのばせる石垣が続き、

大寺であったことがうかがい知れます。

DSC05794.png


正暦寺は日本清酒発祥の地といわれ、酒母(しゅぼ)である「菩提酛(ぼだいもと)」は
日本最古とされ、1月に仕込みがされたばかりです。

それに伴い、清酒祭も行われました。

DSC05802.png


正暦寺からは、五つ塚古墳群などの史跡を見ながら、山の辺の道に戻ります。


そこからは圓照寺の前を通り過ぎます。

DSC05811.jpg

圓照寺は非公開ですが、掃き清められた参道や静かな境内は
訪れる人の気持ちをも清らかに、穏やかにさせてくれます。

華道、山村御流の家元でもあります。

圓照寺の前からはJR・近鉄奈良駅行きのバスが運行しているので便利です。

また、開けた視界からは奈良盆地を見渡す事ができ、
歩いて出発地点の帯解駅まで戻るのも、また別の楽しみがあります。

今回のルートで約11kmの距離です。

公共交通機関等も利用しながら歩いてみてはいかがでしょうか。

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