学問の社寺めぐり
朝晩はまだ冷えを感じますが、日中は暖かさを感じる日も多くなった今日この頃。
春の訪れを感じられる日々ですが、新生活を始められた方も多いのではないでしょうか。
その前には、次の進路に向けて、受験を経験された方も多かったことでしょう。
奈良には学問の神様や、お参りをするとご利益が得られるといわれる神社や寺が多数あり、
県外から訪れる参拝者も多く見られます。
今回はその中からいくつかの社寺をご紹介したいと思います。
ひとつめは奈良市にある菅原天満宮。
学問の神様として知られる菅原道真生誕の地といわれ、その神徳にあやかり
合格祈願や学力向上を願う人々に信仰されています。
道真は生涯を通して梅を愛したと伝わっており、境内のあちらこちらに
梅の樹が植えられています。
そして絵馬にも梅が描かれています。
道真は梅を詠む歌を多く残しており、5歳の頃に初めて詠んだ歌で
このようなものがあります。
うつくしや 紅の色なる梅の花 あこが顔にも つけたくぞある
(きれいな赤い色の梅の花、わたしの顔にもつけて飾りたいものだ)
目を引く豪華さがある桜の花とは異なる、梅の花の奥ゆかしさに
道真も惹かれたのかもしれません。
次にご紹介するのは桜井市、大神神社の末社である久延彦神社。
久延毘古命(くえびこのみこと)が祀られています。
久延毘古命は田の神、農業の神、土地の神様でもあり、その正体は
案山子(かかし)といわれています。
田畑の中に立ち、常に世の中を広く見渡している事から、何でも知っている神様
知恵の神様として信仰されています。
大国主命(おおくにぬしのみこと)が国づくりをする際には、久延毘古命が
知恵を出して力になったと伝わっています。
社殿には知恵の鳥、ふくろうの木像が置かれ、絵馬もふくろうの形をしています。
ふくろうは顔が四方八方に回ることから、物事を素早く察知し、見通しがきき
先見性に富んだ知恵豊かな縁起の良い鳥とされています。
絵馬掛け所には、たくさんのふくろうが掛かっていました。
このような赤いふくろうは、合格をした方がお礼参りをし掛けたものです。
一昔前、通信が発達していない頃の合格通知は「サクラサク」と表現し
電報が送られていたことは有名ですが、文言は地方によって様々だったようで、
奈良では「ダイブツヨロコブ」と通知をしていた大学もあったそうです。
奈良らしい、そして遊びごころのある電報。
受け取った受験生の笑顔が目に浮かびます。
最後にご紹介するのは同じ桜井市にある安倍文殊院。
こちらは日本三大文殊の一つで、「三人寄れば文殊の知恵」のことわざで
知られる文殊菩薩が祀られています。
こちらの文殊菩薩像は日本最大。
国宝に指定されていて、絵馬にも描かれています。
そして毎年恒例となっているのが、色とりどりのパンジーを
ひとつひとつ手植えして作られた干支の花絵。
こちらは4月頃まで見ることができ、受験生のみならず
参拝者の目を楽しませてくれています。
池に浮かぶ金閣浮御堂には、安倍晴明像、安倍仲麻呂像が祀られており
このお堂の回廊を七回まわる「七まいり」をすると厄災が払われ福を得るとされています。
安倍文殊院では、文殊菩薩像以外にも貴重な国宝の仏像を見ることができ、
そのほかにも飛鳥時代に作られた国の特別史跡である西古墳などがあります。
また春には桜、秋にはコスモスと、花を楽しめるお寺としても知られています。
県内の桜も、だんだんと咲き始めてきました。
これからの季節、自然溢れる奈良はますます魅力が増します。
奈良の春を楽しみに、みなさまもぜひお出かけください。