夏の夕暮れの庭
日中は、きびしい暑さが続きますが、
夕方になり、日差しが弱まると
緑や水に囲まれた奈良公園一帯は
ほっとするような、心休まる雰囲気につつまれ始めます。
燈花会の時期は、夜が始まると無数のろうそくの灯りと訪れる人々で
お祭りらしい賑わいを見せますが、その少し前の夕暮れ時、
浅茅ヶ原(あさじがはら)、浮見堂、飛火野などでは
ゆったりと、静かなたたずまいの景色が広がります。
そこから少し南に足を延ばすと、奈良ホテルの隣に名勝旧大乗院庭園があります。
現在の庭園は、江戸時代末期の遺構を守りながら復元されたものですが、
室町時代には将軍足利義政にその才能を高く評価された庭師 善阿弥父子が
作庭を手掛け、「南都随一の庭園 」として公家たちが景色を楽しんだという
逸話を残すなど長い歴史をもつ庭園です。
この時期には、燈花会にあわせて、2日間(今年は8月10日・11日)
夕暮れ時の19時まで開園時間が延長されました。
※台風の影響により、15日の大文字送り火、それに伴う開園時間の延長は
中止となっています。
庭園は、なだらかな水際線をもつ東大池と、入り組んだ曲線からなる西小池を
中心に構成されており、その周辺や橋を渡って散策することができます。
江戸時代に東屋があったとされる場所には、休憩施設が作られており、
そこから庭全体をながめ、江戸時代の庭景に思いをはせることもできます。
今の時期には東大池に浮かぶ三つ島の百日紅(さるすべり)が鮮やかに咲き誇り、
夕暮れ時は、漆黒の鏡のような水面に木々のシルエットや夕焼け色が映し出され、
昼間とは違った幻想的な風景を演出しています。
園内ではお茶会も開催され、窓から庭を臨みながら
お茶とお菓子を頂くこともできます。
来年は夏の夜のお祭りと合わせて、心落ち着く夏の夕暮れを奈良でぜひお楽しみください。
ご紹介したエリアは[鹿の舟]にお立ち寄りいただいた後に、
向かっていただくのもおすすめです。
順路については「観光案内所 繭」でお問合せください。
鹿たちも、美しい鹿の子模様の夏毛で、公園を訪れる皆さまをお出迎えしております。
なお11月16日(土)には、秋の旧大乗院庭園を会場に「庭の講座」を開催いたします。
概要や内容は決まり次第、こちらのページに更新してまいります。
どうぞお楽しみに。