春の花めぐり
春の真ん中とも言われる春分の日をすぎ、
奈良でもあちらこちらから花便りが寄せられています。
万葉集にも詠われた美しい高円山(たかまどやま)
のふもとにある白毫寺(びゃくごうじ)。
「関西花の寺二十五か所」の第十八番札所にも選ばれ、
四季折々の花や草木を楽しむことができます。
この時期は有名な五色椿をはじめ、
可憐な八重白椿、
紅に白斑点の藪椿、蝦夷(えぞ)錦など、
さまざまな椿が咲き誇り、柔らかい緑の苔の上に
華やかな花弁を散らしています。
五色椿は興福寺の塔頭、喜多院から移植されたと伝わる
樹齢450年ほどの古木です。
一本の木に白色や桃色、紅色の絞りの入った花が咲き、大変珍しいのですが、
樹齢の長さに加え、日照りや乾燥で年々弱ってきており、
庭師の方や樹木医から手当を受けているそうです。
一方で、境内では2代目の五色椿も少しずつ成長をしており、
その行く末が期待されています。
さらに敷地内では小さな八重の花を咲かせる子福桜や
白木蓮も美しい時期を迎えています。
山門への長いのぼり坂を上がった後、耳に届く色とりどりの鳥のさえずりは
心地よく、境内からは素晴らしい眺望をのぞむこともできます。
ところ変わって、平城京旧跡にほど近い法華寺。天平時代に光明皇后が
発願し、全国の国分尼寺の総本山として建立された由緒ある寺院です。
この時期、敷地内にある庭園では100本以上ある椿が参拝者を迎えてくれます。
さらに奈良町[鹿の舟]から徒歩数分の「元興寺塔跡」でも
四季折々の花を楽しむことができ、4月には見事な桜が花開きます。
かつて奈良町に広大な敷地を誇った「元興寺」は本堂の極楽坊以外に、
奈良時代から江戸末期まで大きな五重塔があったとされる「元興寺塔跡」、
木造五重小塔が安置されていたと言われる「元興寺小塔院跡」
を残しています。
それぞれの異なった趣のある庭から元興寺を巡るのも楽しいかもしれません。
佐保川沿いや奈良公園など桜の名所も
これから4月の初旬にかけて見頃を迎えます。
奈良でゆるりと春の花めぐりをされてはいかがでしょうか。
「観光案内所 繭」では花暦の入ったオリジナルの
奈良町周辺地図をお配りしております。
また[鹿の舟]の庭では、草木の生命力あふれる芽吹きや
可憐な豆桜なども目にすることができます。
散策に気持ちの良いこれからの季節に、ぜひお立ち寄りください。