年と稲
新しい年を迎えてから、あっという間に1か月が経ちました。
暦の上では、もう春を迎えています。
まだまだ、寒さが身に沁みる毎日なのに、
ぽかぽか陽気が心地良いイメージの春だと言われると、
少し不思議な気がします。
一言に季節と言っても、実に様々なとらえ方があります。
そこには、古くから生活に根付いてきた「農耕」と深い関わりがあります。
かつて、農耕を主産業に生活を始めた時代、
人々は、四季の移ろいなどを繊細に察知し、
私たちの生きる元となる、
お米をはじめとする食物を、大切に育ててきました。
それが、今の暦の感覚の始まりとも考えられています。
一年を表す、トシ(年)という言葉も、
元を辿ると、稲や穀物を指す言葉だと言われています。
[鹿の舟]でも、毎年、
敷地内にある田んぼの作業を
地域の皆さまをはじめとする、たくさんの方に手伝って頂いております。
おかげさまで、昨年も、
うるち米のヒノヒカリと、もち米のヒヨクモチはすくすくと成長し、
立派なお米となりました。
[鹿の舟]の小さな田んぼでも、
季節に合わせた管理を行い、育んできました。
収穫の喜びは、この上ないものです。
私たちの生きる力となる、お米。
年と稲には深い関わりがありました。
そのため、古から、年の神様をお祀りしておられる神社があります。
御所市の「葛木御歳(かつらぎみとし)神社」です。
御祭神は、「御歳神(みとしのかみ)」で、
稲の神様、五穀豊穣をもたらす神様として、
そして、年を司る年神様として厚く信仰されています。
こちらの神様には、
お正月のある風習に、ゆかりが深いのをご存じでしょうか。
それは、「お年玉」です。
お正月飾りに、鏡餅を飾られたかたも多かったと思いますが、
鏡餅は、神様の依り代(よりしろ)とされます。
私たちが、その魂の入った鏡餅をお下がりとして頂戴するものを、
「おとしだま」と呼んでいたそうです。
葛木御歳神社の境内には、
「御歳神様」をはじめとする、多くの神様がお祀りされています。
長い歴史をもつ、格式を感じさせます。
境内から少し進んだところに、カフェがあり、
お参りのあとに、ゆったりほっこりすることができます。
「御歳神様」へのお参りは、新しい年の始まりだけでなく、
何か、新しい事柄を始めるタイミングも良いそうです。
ぜひ、訪れてみてください。
2019年が始まり、
皆さまは、今年どんな年にしたいと願われましたでしょうか。
真っ直ぐな気持ちで「良い年にしたい」と願われたならば、
きっと、年神様も見守って下さるのではないかと思います。
皆さまが、実りのある、素晴らしい年になることを
心からお祈りいたします。