古代の道を歩く ‐上ツ道‐
秋本番、過ごしやすい気候となりました。
この時期は、涼しくて気持ちが良いので、
歩いたり、自転車を使ったり、
風を感じられる方法で
奈良を満喫されるのはいかがでしょうか。
今回おすすめするのは、「上ツ道(かみつみち)」です。
上ツ道は、一説には、飛鳥時代頃から続く古代の主要道路で、
現在の奈良市から南へ伸び、
かつての都へ繋がる道として、整備されてきました。
[鹿の舟]がある奈良町にも、
こちらの上ツ道が通っています。
今回は、興福寺からスタートし、
奈良町を通り抜け、最終的に帯解寺へ到着するルートをご紹介します。
では、まずは興福寺からスタートしましょう。
奈良市の中心街にある、五重塔が美しいお寺で有名です。
今年は、お寺のお堂の一つである中金堂が約300年ぶりに再建され、話題となっています。
今月の20日から拝観も可能です。
さて、興福寺から猿沢池を見ながら、南へ進みます。
采女神社の横を通り、真っ直ぐ進んでいきます。
ここから、ならまち大通り前後は、昔ながらの建物が残っている、
奈良町らしい風景が広がっています。
昔ながらの建物をご覧になりながら、更に南へ進みます。
[鹿の舟]のある交差点をそのまま真っ直ぐ進みます。
数分進んだ先で少し道を曲がってみましょう。
JR京終(きょうばて)駅です。
読み方が難しい漢字ですが、
かつて平城京があった際に、こちらの地区が都の端にあたる場所だったことから
その名がつけられたとのことです。
それではまた、上ツ道へ戻ります。
ところどころに小さな神社もあり、歴史も感じられる通りを進みます。
先程のJRの線路と並行している道ですので、
遠くから、がたんごとんときこえてきたら、
こんな風景にも出会えるかもしれません。
もう少し南へ進んでみましょう。
遠くには山々も望む、のどかな風景を進んでいきます。
帯解寺は長い歴史を持つお寺です。
1160年前、文徳天皇と染殿皇后の間にお子様が授からず悩まれていた際、
春日明神のお告げで、こちらの庵にお祀りされてあったお地蔵さまに
子授け祈願をされたところ、清和天皇をご安産なさったそうです。
そのことを喜ばれた文徳天皇・皇后が建立された、由緒正しいお寺です。
ご本尊の、帯解子安地蔵菩薩は国の重要文化財に指定されています。
以降、江戸時代には将軍家もお参りをしたこともあるそうで、
現在でも安産祈願で有名です。
江戸時代の観光ガイドブックにあたる冊子にも、
帯解寺が盛んにお参りされていたという記録があり、
その当時の名物も復刻されています。
今回ご紹介したコースの所要時間は、
おおまかな目安で片道、徒歩1時間15分、自転車40分程度です。
古代から続く道を、
その昔に実際歩いていた人たちの気分で歩かれるのも
なかなか通な奈良の楽しみ方かもしれません。