霊山寺のバラ
彩り豊かなバラに包まれる霊山寺のバラ園。
霊山寺は、奈良市西部の富雄川沿いにある霊山寺真言宗の大本山です。
お寺の入口では、大辯才天大辯才天辯才天辯才天大鳥居が出迎えてくれます。
お寺で鳥居を見かけることは珍しいと思いますが、境内には十六所神社と呼ばれる社殿があり、
弘法大師がお祀りになった辯才天がおられるため、結界を表す鳥居が設けられています。
霊山寺のある土地は、かつては小野氏の領地でした。
小野妹子の息子である小野富人(おののとみひと)が
こちらに隠棲した後、薬草の栽培を始められ、
薬師如来をお祀りして、薬草風呂を建て、病に苦しむ人々を治療されていたそうです。
今、多くの方が疲れを癒しに訪れる境内の薬師湯殿は、
当時の小野富人の想いを再現して造られたそうです。
神亀5年(728年)、行基菩薩が病に苦しむ阿部皇女(孝謙天皇)のために、
この湯屋を訪れ代参した後、皇女の病が完治したことから、
天平6年(734年)、聖武天皇の勅願によって、
東大寺の大仏開眼供養で導師を務めたインドの僧・婆羅門僧の
菩提僊那(せんな)と行基菩薩が、霊山寺を寺院として落慶されました。
「霊山寺」という名は、菩提僊那の故郷である霊鷲山(りょうじゅせん)と
この土地が似ていることから、名付けられたそうです。
菩提僊那の故郷を想う心が感じられます。
また、当初は興福寺の末寺ということで法相宗を信仰していましたが、
来寺された弘法大師が、この地に強い力を持つ龍神さまがおられると感得され、
奥の院に大辯才天女尊が祀られたことから、真言宗との2宗兼学の寺となりました。
明治以降には高野山真言宗となり、昭和26年(1951年)霊山寺真言宗を立ち上げられ、今に至ります。
この歴史ある寺院では、これから6月中旬にかけて、バラの花が庭園を鮮やかに彩ります。
これから6月中旬にかけて、バラの花が庭園を鮮やかに彩ります。
こちらの庭園は、戦争を経験された当時のご住職が、
世界平和の願いを込めて、昭和32年(1957年)に造園されました。
本堂の鬼門(北東)に位置するこの庭園では、
鬼門にトゲのある木を植えるという習わしに倣って、バラを植え始めたそうです。
異国を思わせる空間に、奈良にいることを忘れてしまいそうなほどです。
奥にはティーテラスもあり、ゆっくりと寛いでバラを眺めることもできます。
珍しい品種のバラも多く見かけ、華やかな香りに包まれます。
今週末の20日(日)には、「薔薇会式・えと祭り」が催され、
ご本尊の薬師如来像と八体仏にバラの花がお供えされ、健康と多幸が祈念されます。
また、境内はとても広く、鎌倉時代の本堂や純和様式が美しい三重塔などの古建築も見応えがあり、
境内を包む新緑も気持ち良く、境内をゆっくり散策されるのもお勧めです。
奈良市街地から少し足を延ばして、拝観に出かけてみてはいかがでしょうか。