ちゃんちゃん祭り
天理市にある大和(おおやまと)神社の「ちゃんちゃん祭り」。
五穀豊穣と天下泰平を祈るために毎年行われるこの祭りは、
15世紀頃から行われていたとされています。
大和神社の郷中である9町の氏子の方々によって大切に守り受け継がれ、
今年も好天に恵まれた4月1日に行われました。
「祭り始めは、ちゃんちゃん祭り、祭り納めは、おん祭り」
と歌われるほど、奈良を代表する渡御祭でもあり、
今年の2月には、県指定無形民俗文化財に指定されました。
神社の境内で神事が行われた後、祭りの中心である神幸祭(お渡り)では、
中世の時代衣装を身につけた氏子による時代行列が、
2キロほど離れた「中山郷大塚山(中山大塚古墳)」にある
お旅所「大和稚宮(おおやまとわかみや)神社」までの道のりを練り歩きます。
このとき、撞木で鉦(かね)を
"ちゃんちゃん"
と打ち鳴らして歩くため、「ちゃんちゃん祭り」と呼ばれています。
すぐ後ろには、花の付いた梅の枝「梅ズワイ」を持つ新泉町の方が続きます。
他にも、白装束を身に付けた氏子を中心に、様々な道具を持つ方の姿が見られます。
鉦の後ろで、時代行列を先導する猿田彦大神は、
境内の摂社「増御子(ますみこ)神社」の祭神で、
道祖神でもあり、天狗の容貌をしています。
勅使が行列に参加できない代わりとして、「千代山鉾」を持って歩く兵庫町の方。
お旅所で「竜の口」舞を披露するため、竜頭を持つ方の姿も。
騎馬と、その後ろには、本社と増御子神社のお神輿が続きます。
行列がお旅所に到着すると、「お旅所祭」が行われます。
長柄町は塩鯛、兵庫町は柳の箸一膳、中山町は茅巻(ちまき)と、
各町の頭屋がお供え物を供えます。
その後、豊作を祈願して、新泉町の氏子が甑(こしき)に橿の葉を入れ、
菅笠の姿で鋤(すき)を持って橿の葉を撒くしぐさをし、
兵庫町の頭人子が竜頭で「竜の口」舞を披露します。
夕方には、再び行列が本社に還幸し、春の訪れを告げる祭りが終わりました。
大和稚宮神社のある中山大塚古墳は「山の辺の道」のすぐそばにあり、
そこから少し足を延ばせば、大和神社にも立ち寄ることができます。
ハイキングが気持ち良い気候になってきました。
奈良市内から天理・桜井まで続く山の辺の道のコースや見所など、
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