鹿の舟のいま

夜の路地裏散歩

奈良では東大寺二月堂の「お水取り」が終わると春が来る、と言われています。

本当に春らしいうららかな日が続き、
夜、外に出るのも心地よくなってきましたので
夕暮れからゆったりと歩くのが楽しい路地裏を少しご紹介します。

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奈良町やその周辺には風情ある路地が沢山ありますが、
今回は猿沢池の西南、歴史ある商店街「もちいどのセンター街」と
大和古道のひとつである「上つ道」挟まれた
「元林院(がんりいん)町」と「南市(みなみいち)町」の路地裏を歩いてみました。


元林院町は古くは興福寺の「元林院」が置かれたことから、この名前がつきました。


江戸時代には仏画を描いた絵師たちが多く住んだことから「絵屋(えや)町」とも呼ばれ、
町内を流れる率川(いさがわ)にかかる橋も「絵屋橋」といわれています。

明治にはいって花街としてにぎわうようになり、
置屋や料理旅館だったいくつかの建物には当時の面影が残っています。

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また明治時代の火災を鎮めたと言われる「八王子四之室(はちおうじしのむろ)神社」
が今も大切に祀られています。


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南市町は名前の通り、かつて奈良の主要な市場としてにぎわった土地です。


当時から市を守る「南市恵比寿神社」は商売繁盛の神社として
地元の信仰を集めてきました。

飲食店が並ぶ路地の一角に突然現れる堂々とした鳥居は印象的です。

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1月4日の宵えびす、5日の本えびすなど祭礼が行われる時は境内が開かれ、
多くの人が参拝します。

明るく照らされた「もちいどのセンター街」や、人通りの多い「上つ道」から
一本それるだけで雰囲気はがらりと変わり、静かな空間が息づいています。

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細い路地は別世界への入口のように感じることがあります。

夜になるとその神秘性が増して、小さな冒険が始まりそうです。

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夜の路地では昼間より浮かび上がってくるものもあります。

それは窓明かりから感じる人々の生活や営みの気配でした。

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また、その土地をずっと見守ってきた小さな路地裏の神社が
夜の闇に沈むことなく、照らされている様子は
街の歴史が大切に残されているのを物語っているようでした。

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これからの季節、少し寄り道をして街の別の顔を覗いてみてはいかがでしょうか。












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