菅原天満宮の梅
昔から、多くの詩に詠まれる梅。
今では、日本の花と言えば桜を思う方も多いですが、
万葉の時代には、花と言えば梅のことを指すほど、梅は昔から愛されてきました。
梅の花について詠んだ詩の中に、菅原道真が詠んだ有名な歌があります。
「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花
.............あるじなしとて 春な忘れそ」
道真公が京都から太宰府へ出発する際に、庭の梅の木を見て詠まれました。
道真公が愛したこの梅の木は、彼を追って太宰府まで飛んでいったとされ、
「飛梅伝説」として広く語り継がれています。
他にも、道真公が5歳で初めて詠んだ歌にも梅の花が詠われました。
このように、生涯を通して梅の花を愛でておられた菅原道真は、
全国に数多く存在する天満宮、天神社、菅原神社にお祀りされていますが、
日本最古の天満宮が奈良にあるのをご存知でしょうか。
西大寺から南に抜けた、奈良市菅原町にある「菅原天満宮」は、
菅原家発祥の地とされ、菅原家の三神がお祀りされています。
こちらは道真公の生誕の地でもあり、天満宮の中でも、
太宰府天満宮、北野天満宮と並ぶ重要な神社とされています。
そんな菅原天満宮の境内に植えられた約100本の梅の木は、
これから徐々に花開き、参拝者の目を楽しませてくれます。
また、この時期には盆梅展も行われ、約130もの品種、約200鉢の梅が並びます。
白梅、紅梅、1本の幹から紅白の花が咲いているもの、
それぞれに見応えがありますが、「菅原八宝梅」という品種は、
1本の幹から本紅梅・淡紅梅・白梅一重など8種類の花が咲き誇ります。
梅の香で包み込まれた境内で、梅の社紋が引き立ちます。
また、幼いころから神童と称され、学問の神様としても知られる道真公に因み、
境内には、合格祈願の願いが込められた絵馬が数多く見られます。
今週末には五穀豊穣を願う「おんだ祭り」が催され、
梅見と合わせて楽しむことができます。
可憐な花を咲かせ、私たちの目を楽しませてくれる梅。
[鹿の舟]の庭で佇む白梅も、この数日の間に少しずつ花開きはじめています。
お食事や観光案内と合わせて、梅見にいらしてください。