かまどの修繕
ふっくらと美味しいご飯を焚き上げる「かまど」。
「食堂 竈」では、年末にお休みをいただき、
かまどの生みの親である左官職人の宮奥淳司さんに
2年ぶりの修繕工事をして
遠方からも左官職人さんたちが応援に駆けつけて下さり、
熟練の技が竈に集結しました。
丈夫に作られているとはいえ、一日に何度もお米を炊き上げるかまど。
これからも皆さまに美味しいご飯を召し上がっていただけるよう
職人さんにしっかりとメンテナンスをしていただきます。
1年前には、かまどの内側部分、
お釜をはめる「火袋」の中の補修を行いましたが、
今回は、3日間かけて表面部分をきれいに塗り直してもらいます。
手作業で表面だけを剥がしていくため、時間はかかりますが、
自然素材の土を重ねて作られているため、
土を塗り替えることで、ずっと使い続けることができます。
女性のお化粧を落とすように、かまどの地肌を出していくそうです。
表面の土が剥がれ、地肌が露わになりました。
土色になったかまどは、なんだか新鮮です。
今までの艶やかな表面の土とは異なり、
土の中には藁が含まれているのが分かります。
土は何層にも重ねられており、
その土ごとに混ぜる藁の粗さを変えて塗り重ねます。
最初は大きな藁を、2層目は少し細かい藁を、
と、徐々に土に混ぜる藁を細かくしていきます。
最後に塗り重ねる土には、砂のように細かくした麻を混ぜることで
美しい艶と強度を持たせます。
全体に土を塗った後は、「鏝(こて)」で表面を均します。
鏝も、地金や鋼などの素材によって表面の仕上がりも変わるため、
均す順番によって使い分けていきます。
職人さんの道具箱には、様々な種類の鏝が並んでいます。
表面がきれいに仕上げされたかまどは、光を受けて輝いています。
竈のかまどは鼠色をしていますが、いちばん外側の土に色をつけると、
鮮やかなかまどに仕上がるそうです。
最後に、蜜蝋を塗って完成です。
最初は少し淡い鼠色をしていたかまどの表面は、
毎日使うことで色味が深くなり、次第に濃い鼠色になっていました。
今までのかまども、使い込まれた味わい深い風情を醸し出していましたが、
土を塗り替えたことで、気持ちも新たに新年の営業を迎えています。
きれいになった「かまど」で美味しいご飯を炊き上げ、
皆さまのお越しをお待ちしております。