秋の展覧会
芸術・文化の秋ですね。
あちらこちらで展覧会やフェスティバルが開かれています。
奈良でも昔から芸術・文化で地域を活性化しよう
という試みがあったようです。
まずは明治の初めの奈良博覧会。
東大寺の回廊が会場となり県内から文化財を集めた
大規模な展覧会が開催されました。
当時は交通の便も今ほど良くなかったはずですが、
80日間で約17万人の入場者があり、盛況を博したそうです。
正倉院や寺社の宝物が陳列され、明治維新後、
散逸のおそれがあった文化財や伝統工芸の保全に
関心が高まったと言われています。
そして、奈良時代を代表する宝物の数々を公開する正倉院展。
戦火を逃れるために貴重な宝物を正倉院から
帝室博物館(現在の奈良国立博物館)に移したことがきっかけでした。
終戦後、宝物を正倉院に戻そうとした時、
奈良の人々から「戻す前にぜひ一般に公開してほしい」という声が高まり、
昭和21年(1946)10月に第一回正倉院展が開かれたのです。
当時はまだまだ混乱が続き、日々の生活もままならない状況でしたが、
長蛇の列ができ22日間で約14万7千人が来場したという記録があります。
正倉院展を見て「生きる力が湧いてきた」、「希望をもらった」
といった言葉が聞かれたそうです。
一度きりのはずだった展覧会は、今日まで続いています。
終戦後の人々の心の糧になった宝物たち、
人々の願いが集まって始まった展覧会、
そんな背景を想うと、より興味深く、親しみを持って観賞できそうです。
近くの奈良公園では11月5日までくるみ木も出店している、
食のフェスティバル ‐ シェフェスタも開催されています。
ぜひ味覚の秋も併せてお楽しみください。