高山茶筌 ― 茶の湯の道具 其の一 ―
茶道に欠かせない茶道具のひとつである茶筌。
奈良を代表する伝統工芸品の一つで、
材料である竹の林がある奈良県最北端の高山地区で
古くから作られています。
冬に伐採した竹を油抜き・天日乾燥し、刀等で細かく割った後、
穂先を30~70ミクロンまで薄く削り、糸で編み上げ
きれいに細工し、完成です。
約120種類もの茶筌があり、その姿は茶道の流派に応じても異なっています。
表千家や武者小路千家では黒っぽい煤竹(すすだけ)で穂先がまっすぐなのが特徴で、
裏千家では白っぽく、穂先がくるりと曲線を描いています。
室町時代、大和鷹山(現生駒市)城主の次男、入道宗砌(そうぜい)が
現在の形を初めて作ったと言われています。
和歌や書道の達人であった彼は、近くに住む茶人 村田珠光と
文雅を通じ親交が厚く、珠光が茶道を考案した時、
茶道にふさわしい道具の作成を依頼され、苦心を重ねて作り上げたそうです。
その後の千利休に受け継がれた茶道の隆盛と共に
茶筌づくりは高山地区で盛んになり、その技術が代々受け継がれてきました。
日本の茶道が世界的に有名になる中で、パリのルーヴル美術館や
日本文化の祭典であるジャパンエキスポに、茶筌が出展され好評を得ました。
茶道では必ず「茶筌とおじ」という所作があります。
お茶を点てる前に茶筌の穂先を湯にくぐらせることで清め、
柔らかくしてお茶を点てやすくし、穂先をあらためるためです。
穂先の状態を丹念に調べる「茶筌とおじ」をしていると、
お客様に点てるお茶の準備を万全に整え、誠心誠意おもてなしをしようという
茶道の精神に触れているのを実感します。
[鹿の舟]繭では、奈良で茶の湯を愉しむ会を毎月開催しています。
お茶の稽古をとおして、日本の良き暮らしの在り方や
おもてなしの心を学ぶことができます。
とてもわかりやすく親切なお稽古ですので、
ご経験のない方にも、安心して受講していただけます。
ご興味おありの方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。