鹿の舟のいま

和ろうそく

和ろうそく (2).JPG

 

 

 心をすっと落ち着かせてくれる、ろうそくの灯り。

 

 

「観光案内所 繭」では、

「お米のろうそく」と「櫨ろうそく」の

2種類の和ろうそくを販売しています。

 

 

日本のろうそくは、「和ろうそく」と「西洋ろうそく」に

大きく分けられ、その違いは材料にあります。

 

石油の成分が原料に使われている西洋ろうそくに対し、

和ろうそくには櫨の実や植物性の油脂、お米の糠を使った糠蝋、

蜂の巣から取り出した蜜蝋などが使われています。

 

植物性の原料を使っているため、

油煙が少なくススも少ないのが和ろうそくの特徴です。

 

 

他にも、芯の材料もろうそくによって異なります。

 

和ろうそくには、い草の髄から採れる灯芯が、

西洋ろうそくには、木綿糸が使われています。

 

和ろうそくの芯は和紙を棒に巻き付け、い草から採れる灯芯を

一本一本丁寧に巻いて作られています。

 

棒に巻き付けることによって芯の上まで空洞ができ、

火をつけると穴から空気を取り入れて火を吸収することから、

炎がゆらゆらと大きく揺らぎ、消えにくいのが特徴です。

 

また、和紙でできた芯は溶けたロウを吸い上げながら燃えるので、

ロウが垂れるのを防ぎ、最後まできれいに燃え尽きるので、

においも汚れも気になりません。

 

 

繭で販売している「お米のろうそく」、「櫨ろうそく」には

奈良の安堵町で作られた灯芯が使われています。

 

 

安堵町はかつて灯芯の材料となる、い草の一大生産地でした。

 

九州や中国で栽培される畳表の原料にする、い草とは種類が異なり、

安堵町では、ろうそくの芯にする髄を取り出すための

茎が太く、丈の短い品種が栽培されています。

 

 

電灯が普及し灯芯の需要が低迷するにつれ、い草を栽培する農家は減少し

1968年に最後の商業栽培となりました。

 

 

現在では安堵町の「灯芯保存会」によって「灯芯ひき技術」が伝承されており、

全国各地に残る和ろうそく用の灯芯として使用され、

また、神社仏閣の灯明や祭祀用にも献納され、伝統を守り続けてます。

 

灯芯.JPG

 

 

手仕事でていねいに受け継がれる灯芯の技、

その技によって生み出される美しい炎の揺らめきは、

数多くの空間を、幻想的な雰囲気に包みこみます。

 

 

1日の終わりに和ろうそくを灯し、

あたたかいろうそくの灯りの中で

ゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。

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