采女祭
中秋の名月。
毎年、采女神社では「采女祭」が行われます。
春日大社の末社である采女神社は、
采女命(うねめのみこと)を祭神としています。
采女とは、天皇のお世話をする女官のことをいいます。
奈良時代、天皇の寵愛が薄れたことを嘆き悲しんだ采女が、
猿沢池の池畔の柳に衣を掛け、猿沢池に身を投じたため、
采女の霊を鎮めるために猿沢池のほとりに
神社が建てられたという言い伝えが残っています。
祠が鳥居と反対の方向を向いているのは、
わが身を投じた池を見るに忍びないと
采女が一夜のうちに背を向けてしまったためと伝えられています。
悲しい言い伝えの残る采女の霊を鎮めるとともに、
人々の幸せを祈るため、采女祭が催されます。
お渡り式は華やかで、お稚児さんや様々な衣装を羽織った方々による
花扇奉納行列はとても見応えがあります。
日が沈み、提灯の明かりが灯ると昼とは異なる雰囲気に移り変わります。
この後、霊祭、2隻の管絃船の儀、花扇奉納が開催され、
猿沢池の周りは普段と異なる華やかさに包まれます。
いつもは、ひっそりと佇む采女神社ですが、
言い伝えが転じ、縁結びの霊験あらたかとされています。
釆女神社の前で中秋の名月の月明かりで縫針に赤糸を通すと、
願いが叶うと伝えられている糸占いをすることもできます。
授与所では、この日のみ糸占いが授与されますので、
大切な方に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。